ダイエットの方法として糖質制限が話題となっていることに注目し、日本糖尿病学会はこの是非をめぐって討論会を開いた。糖質制限は比較的短期間で体重を減らせる特徴がある一方で、欠点もあるようだ。専門家はどのような知見を披露したのか。激論となった討論会の一端を紹介する。(山本雅人)
合併症予防も
5月に開催された糖尿病学会年次学術集会では「低炭水化物食は有益か、有害か?」と題するプログラムがあった。あえて「コントラバーシー」(論争の意)の部に組み込まれた。
炭水化物とは、ご飯やパン、麺類の主成分であり、糖質制限ダイエットは主にこの炭水化物の摂取を控えることを目指すものだ。炭水化物を控えれば、摂取の総カロリー数はあまり気にせず、肉類でも一定量食べていいのが特徴だ。
推進派として、北里大学北里研究所病院の山田悟・糖尿病センター長は糖質制限についての無作為比較試験に触れ、「血糖、体重、血圧、脂質の全てが改善した。動脈硬化症の改善データも得られた」との結果を示し、「糖尿病のさまざまな合併症予防の点からも意義がある」と語った。