脱毛や皮膚の変色など抗がん剤治療、放射線治療の副作用による外見の変化に悩んでいる患者は少なくない。こうした外見の悩みに対応するため、国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)が「アピアランス支援センター」を立ち上げて1年。これまでの取り組みなどを紹介する。(平沢裕子)
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アピアランスは外見や容貌の意味。同センターは研究・教育・臨床の3本柱で、がんにかかわる外見の問題について、最新の知見を提供し、患者の「生きる力」を支えることを目指している。
同病院皮膚腫瘍科の山崎直也科長は「脱毛など抗がん剤による皮膚障害の副作用が出るのを嫌がり、治療をやめてしまう患者さんもいる。外見ケアの工夫で治療に前向きになる患者さんは少なくない」と指摘する。
手術や抗がん剤、放射線などのがん治療は脱毛や皮膚の変色、爪の変化などさまざまな外見の変化をもたらす。同病院が平成21年、抗がん剤治療を受けている通院患者638人に、どんな副作用がつらいか聞いたところ、脱毛や顔の変色など外から見える身体症状が多く含まれていた。特に女性では「頭髪の脱毛」がトップで、吐き気やしびれ、痛みなど身体症状の苦痛を上回っていた。