実は、ファストリがこうした取り組みをするのは今回が初めてではない。2007年にも全国で5000人の「地域限定正社員化」を掲げた。しかし、実際に手を挙げた社員は1400人にとどまった。フルタイム勤務を条件としたため、育児や介護などで勤務時間を増やせない非正規社員が多かったからだ。
前回の反省もあり、今回は柔軟な対応を取る。時短勤務や土日の出勤可否などの要望を可能な限り受け入れることで、正社員への契約変更を促す。
うどんやそばのチェーン店を展開するグルメ杵屋(大阪市)も7月から、パートやアルバイトを対象に、時間や地域を限定した正社員への転換制度を始める。直営店440店で最低1人ずつ、正社員を増やす計画だ。同社の加藤誠久総務担当執行役員は「人事管理ができる中核人材を増やし、店舗の質を上げる」と話す。
両社が正社員化に本腰を入れるのは、「スタッフを募集しても何カ月も集まらない店舗がある」(ファストリ)など、パートやアルバイトの人材確保が難しくなっている現状もある。