人間の目や手が届かない場所にこそ、ドローンが活躍する余地がある。同じ幕張メッセで3月24日から26日までに開催されたジャパン・ドローン2016(主催・一般社団法人日本UAS産業振興協議会)でも、出展者が同じようなソリューションを披露していた。リコー(東京都中央区)はジャイロセンサーで常にドローンを水平に保ちつつ、周辺をぐるりと球形の網で覆って、ドローンが橋梁に当たって落下しないよう工夫していた。富士通(東京都港区)は、ドローンの両端に車輪のようなガードを付け、カメラ自体は水平に保ちながらも橋桁の下を移動させていく方式を提案していた。
リコーでは、180度に迫る広角のカメラを装備して、ドローンがGPS(全地球測位システム)に頼らなくても、障害物に当たらないで進めるステムを提案していた。GPSが使えない倉庫のような屋内や、障害物に覆われた被災地でも、このシステムがあればドローンを使って物を探し、被災状況の把握も行える。
警備の分野でもドローンの活用が始まりそうだ。セコム(東京都渋谷区)は両方の展示会に出展して、事件が起こればドローンを発進させて犯人を追跡する、日頃から周辺の状況を記憶しておき、見知らぬ車が止まっているような違いが生じれば警告する、といった運用方法を提案していた。
セコムでは、飛来してくるドローンを警戒するシステムも提案。レーダーで探知し、集音マイクで音を捉え、カメラで本体を識別して未知のドローンかを判断する。捕獲は難しいが、警戒態勢を整えていることを示せば、ドローンを飛ばして侵入・偵察しようとする目論見を抑止できる。
同業の綜合警備保障(東京都港区)でも、ドローンの警戒システムをドローン・ジャパン2016に出展していた。低価格化と高性能化が進むドローンの悪用も懸念されるなか、警備会社のサービスにドローン対策も重要なメニューとして加わってきているようだ。