安倍晋三政権は「未来投資に向けた官民対話」の中で、自動運転車の他にも、小型無人機「ドローン」や健康医療などの新技術の実用化に向けて、規制緩和の検討を指示している。革新的な技術への投資を通じ、新しい需要を創出することが、日本経済の成長には欠かせないと考えるからだ。
◆安全、利便性を両立
安倍首相は「第4次産業革命はスピードが勝負。自動走行、ドローン、健康医療は、安全性と利便性を両立できる有望分野だ」と述べる。甘利明経済再生担当相も「スマートフォンがアプリの需要を生んだ」ような、新市場の開拓の引き金となると期待を込める。
なかでも、ドローンの開発や活用は「空の産業革命」ともいわれ、最も成長が期待される分野の一つだ。海外では、インターネット通販大手の米アマゾン・ドット・コムが荷物を配送する計画を進めるなど、さまざまな業種で、新ビジネスやサービスにドローンを活用する動きが進んでいる。
日本でも、経済産業省が「ドローン」などで離島に物資を配送する実証実験を今年からスタートする。飛行には準天頂衛星を利用した高精度の位置情報を活用する。実験で安全性などが確認されれば、航空法に例外規定を設けて認可し、無人機による物資運搬ができるようにする。安倍政権が推進する地方創生に向け、人口の少ない農村や離島などの物流改善にもつなげたい考えだ。