近大マグロ「完全養殖」で日本人の“買い負け”防げ (4/5ページ)

2014.8.5 06:35

「近大マグロ」という〝ブランド〟になった近畿大学水産研究所の完全養殖クロマグロ。日本の水産業は大きな可能性を秘めている

「近大マグロ」という〝ブランド〟になった近畿大学水産研究所の完全養殖クロマグロ。日本の水産業は大きな可能性を秘めている【拡大】

  • 「近大マグロ」を試食するタレントの阿藤快氏=東京都千代田区
  • 高島屋大阪店でお歳暮商戦の目玉商品となっている近大マグロ=大阪市中央区

 信頼関係が構築されると稚魚や幼魚の生産規模の拡大を考えていた近大は、資本力のある商社がパートナーとして名乗りを上げたことを歓迎。豊田通商も若手社員が提案した新規事業について、「天然の幼魚を使わない持続可能な養殖事業に貢献でき、幼魚を仕入れて生魚に飼育する既存の養殖業者と競合することもない」と参入を決断。22年6月にツナドリーム五島を設立して世界で初めて中間育成事業を始めた。

 「買い負け」防げ

 世界で魚の消費量が拡大するとともに、資源枯渇や価格高騰のため、日本人がこれまでのように魚を食べられなくなることが考えられる。とくに資源枯渇が心配されるのは、最高級すしネタとなるクロマグロやミナミマグロだ。

 独立行政法人・水産総合研究センターなどによると世界のマグロ類の漁獲量は増加傾向を続けており、平成14(2002)年以降は400万トン台で推移。クロマグロの直近の漁獲量は1・1万トンで、8割は日本で消費されている。ただ、和食人気やすしブームで欧米や中国などの消費が増えていることを考えると、今後は世界的なマグロの争奪戦が激化している。

日本人が適正な価格で買えない「買い負け」

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