豊田通商は16日、世界初のクロマグロ完全養殖に成功した近畿大学と共同で、受精卵の孵化(ふか)から5センチ程度の稚魚に育てる人工種苗の量産化事業に乗り出すと発表した。将来の海外展開も視野に共同で水産養殖事業を推進する覚書も交わした。
豊田通商は、全額出資でツナドリーム五島種苗センター(長崎県五島市、資本金5億円)を設立済み。来年5月から陸上水槽で育成し、来年度は年間約4万尾、2019年度に30万尾の稚魚生産を目指す。
豊田通商の加留部淳社長は「天然マグロを保護する社会的な使命にもつながる」と意義を強調。近畿大の清水由洋理事長は「生産量拡大に加え、世界に挑戦したい」と豊田通商と組んだ理由を話した。アジアや米国向け輸出や将来の養殖事業も検討している。