日本が南極海で実施している調査捕鯨について、反捕鯨国のオーストラリアが国際捕鯨取締条約に違反するとしてオランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)に中止を求めた裁判で3月31日、条約違反を認定し中止を命じる判決が言い渡された。ICJの裁判は一審制で控訴は認められておらず、日本政府は判決に従う方針を表明。南極海での調査捕鯨の継続は困難になった。北西太平洋で行っている調査捕鯨は訴訟の対象ではないが、影響は避けられず、商業捕鯨再開を目指してきた日本は抜本的な転換を迫られることになった。
「深く失望」も従う方針
ペテル・トムカ所長は判決理由で、クジラの捕獲数の決定が科学的検討に基づくものとは認められないと指摘。日本が現在行っている調査捕鯨は、国際捕鯨取締条約8条で認められた科学的研究のための捕鯨に当たらないと判断した。
商業捕鯨のモラトリアム(一時停止)以降、日本は1987年から条約の規定を基に南極海で調査捕鯨を実施してきた。
これに対し、オーストラリアが2010年5月に提訴。ニュージーランドも第三国として参加した。オーストラリアは裁判で、日本の調査捕鯨の実態は「科学を装った商業捕鯨だ」と主張し即時中止を求めていた。