■異色の提携事業は若手経理社員の情熱的な“飛び込み営業”で実現
世界で初めて卵からの完全養殖に成功した「近大マグロ」の量産化が加速している。近畿大学と豊田通商がタッグを組み、長崎県五島市に卵をふ化させて稚魚に育てる施設を整備。近くで既に稼働する稚魚から幼魚に育てる中間育成施設と連携し、平成31年度には幼魚10万匹を養殖業者に出荷する計画。これで国内消費量の約1割に当たるマグロの養殖が可能となるという。乱獲から資源枯渇への懸念が高まり、漁獲制限が強化されるクロマグロの安定供給につながると期待されている。
近大マグロ、世界へ
「社会的意義の高い事業だ。近大マグロの世界進出も視野に入れていきたい」
東京都内で開かれた記者発表で豊田通商の加留部淳社長は、こう強調した。
新たに始めるのは、クロマグロの卵をふ化させて稚魚に育てる事業。豊田通商が長崎県五島市に設立した子会社「ツナドリーム五島種苗センター」を来年5月に稼働し、体長5~6センチの稚魚に育った段階で、近くで既に中間育成に取り組む別の子会社「ツナドリーム五島」に引き継ぐ。そこで稚魚を数カ月かけて体長30センチ程度の幼魚にまで育てて養殖業者に販売。生魚にまで飼育して飲食店などに出荷していく。