コスト抑制課題
一方、再生可能エネルギーと蓄電システムを組み合わせた水素の活用は価格が高額になってしまうのが大きな課題となっている。岩谷産業の関係者は「実証実験を通じて、細かくコストを検証したい」としている。実証実験の期間中にコスト評価やコストを下げる技術の導入について検証する。
トヨタの友山専務役員は「水素事業は補助金がない形で成立する必要がある。日本企業がよく指摘される技術で買って事業で負けることにならないように強固な産学連携の体制を構築し、最終的な実用化を見据えたい」と話す。
政府は2020年開催の東京五輪・パラリンピックで日本の水素技術を世界にアピールしようとしている。昨年末に開かれた気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)では、今世紀後半に温室効果ガス排出量を実質的にゼロにする新たな国際枠組み「パリ協定」が採択された。水素を活用した環境技術はますます重要性が高まっている。(黄金崎元)