勢い欠く新型車、固定費増加に反省も
7月28日にトヨタ自動車が発表した1~6月期(上期)の世界販売台数の結果を見て、多くの関係者が不思議に感じたのではないか。トヨタの世界販売台数は前年比で0.6%減少し、499万台にとどまった。一方、排ガス不正問題を引き起こした独フォルクスワーゲン(VW)は511万台(同1.5%)に増加した。その差はわずか12万台ではあるが、昨年の失速から早くも切り返し、VWが世界トップに立った。
トヨタとVWの台数の明暗を分けた要因は大きく3点ある。第1は主な販売国の構成の違いだ。VWが中国・欧州で台数を伸ばすのに対し、経済が低迷する東南アジア諸国連合(ASEAN)各国でトヨタは苦戦する。
第2に、高級車(プレミアム)市場での存在感の差異がある。プレミアム車の構成比が高いVWはアウディ、ポルシェが好調に推移している。
第3は3月の愛知製鋼の工場火災、4月の熊本地震、5月のアイシン精機傘下のアドヴィックスの工場爆発事故が相次ぐなどトヨタが国内工場の操業ロスに苦しんだことだ。