経営再建中のシャープを買収する台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業が、シャープ創業者、早川徳次氏(1893~1980)の記念館をつくることを検討しているという。今のシャープ本社(大阪市阿倍野区)近くに設立する計画なのだそうだが、本社は堺市の堺工場に移ってしまう。一方で同社の歴史や技術などを学べる「シャープミュージアム」(奈良県天理市)を、鴻海がどう処遇するかも懸案になってくる。いずれも国内有数の家電メーカーに育てた早川氏を顕彰する施設で、趣旨がダブる。それでも、鴻海の意向に従うしかないのがシャープの現状だ。(織田淳嗣)
栄光の歴史
ミュージアムは液晶パネルを製造する天理工場の敷地内にあり、早川氏が亡くなった翌年の昭和56(1981)年にオープン。小学校の社会科見学などに利用され、これまでに累計60万人が訪れた。予約制で、無料で展示品の案内が受けられる。
館内入り口で、いかめしい表情の早川氏のレリーフが出迎える。早川氏は大正元(1912)年にシャープを東京都内で創業。社名の由来となったシャープペンシルの製造工程の再現ジオラマが展示コーナーへと誘う。