経営再建中のシャープが台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業傘下に入る契約を締結した。2日、共同運営する堺市堺区の液晶工場で調印した後、シャープの高橋興三社長との共同記者会見に臨んだ鴻海の郭台銘会長は「買収ではなく投資」と強調するなど“融和”を演出した。
1カ月余りの交渉で出資金の大幅減額や合意条項を鴻海に都合良く書き替えさせた豪腕の強面は封印。具体的な再建策を示すことなく「短期間で黒字化できる」と豪語した。2時間40分も続いた会見では結局、シャープ再建の行方がみえなかった。
35分間の独演会
英語名でテリー・ゴウと呼ばれる鴻海の郭会長が日本で記者会見を開いたのは2月5日以来となる。前回はシャープが鴻海との交渉に重心を置くと表明した翌日、郭会長が大阪市阿倍野区のシャープ本社を電撃訪問し高橋社長とロングラン交渉の後。「優先交渉の権利にサインした」と文書をかざし、その後にシャープが「優先交渉権を与えた事実はない」と否定する一幕があった。