既視感、というより似て非なるというべきだろう。経営再建中のシャープは、またもや官民ファンドの産業革新機構が出資する日の丸液晶連合、ジャパンディスプレイ(JDI)への合流を袖にして、台湾・鴻海精密工業と手を組んだ。4年前の合意の振り出しに戻ったかにみえるが、出資比率は解散請求権の生じない10%未満に設定した前回の資本業務提携と違い、議決権ベースで66%を握られる身売りだ。合意株価1株あたり550円は88円へと下がっている。この短期間で企業価値をここまで落とした経営責任は重い。(松岡達郎)
自立性演出
「買収ではなく投資だと言いたい。鴻海もシャープも引き続き存続するが、シャープの大株主が鴻海になるということだ」
4月2日、堺市で会見した鴻海の郭台銘会長は、こう強調し、融和的な態度を演出した。
共同会見に臨んだシャープの高橋興三社長も「鴻海さんに買収ではなく投資と言っていただいている。自分の足で立たないといけないと思っている」と応じ、経営の自立性が今後も続くことをアピールした。