全日空は今年9月から国内唯一のカンボジアとの直行便となる成田-プノンペン線を就航させるほか、今冬には国内航空会社で唯一の中南米路線の成田-メキシコシティ線開設を予定するなど、首都圏からの路線開拓に力を注いでいる。
しかし、その全日空の戦略に関空はまったく含まれていない。背景にはビジネス客の取り込みを重視していることがある。
全日空は欧米や東南アジア向けの中長距離路線ではビジネスクラスの席数を増強し、ビジネスとエコノミーの中間となる「プレミアムエコノミークラス」を設定するなど、旅客当たりの単価が高いビジネス客向けの戦略を徹底している。観光客主体で、ビジネス需要の少ない関空は全日空にとって「うまみのない空港」となっているのだ。
実際、全日空が関空から開設する国際線は中国の数都市と香港路線だけだが、これも中小を含む関西企業が中国に積極的に進出していることからビジネス需要が見込めることが影響している。
関空からの欧米など長距離路線の可能性について、全日空幹部は「すでに海外の航空会社の路線がある都市に開設すると供給オーバーになる」とそっけない。当面は冷や飯を食う状態が続きそうだ。