褒める前提条件は信頼関係の構築
そうしたANAのコミュニケーションを活性化させているのが「褒める文化」である。しかし、いきなりでは褒められたほうも戸惑ってしまう。
「ですから、常日頃から相手を気遣っていることが大切なのです。部下が『上司が絶えず見てくれている』と感じていれば、褒めるだけでなく、叱る場合でも素直に受け止めてくれます。やはり、お互いの信頼関係が前提です」
こう石井さんが語るように、人は認められることでモチベーションも上がる。鈴木さんも、その意味では挨拶が基本で、一緒の飛行機に搭乗するクルーが揃ったときにも「これからよろしく」と上位者から積極的に話しかけるようにしている。
褒める仕組みで効果的に活用しているのが「グッドジョブ・カード」。職場での仲間の仕事ぶりを見て、感心したことがあれば、所定のカードに書いて渡す。カードは、カーボン式の2枚複写になっていて、2枚目が直属長にいく。それによって褒められた人だけではなく、褒めた人も認められる。