例えば、日本では物件の完成前にモデルルームを見学し、物件のイメージを確認するのが一般的だが、中国では事情が異なる。中国人はモデルルームを見ても「同じ部屋ができるはずがない」(国内住宅大手関係者)と信用しないといい、実際に完成した物件を確認してから購入に踏み切るケースが多い。
このため、完成までにある程度の売約済みを見込める日本と比べ、住宅販売で売り上げを計上するまでに時間がかかることになる。
また、中国では「スケルトン」と呼ばれる内装なしの物件が好まれる傾向がある。これはキッチンなどの内装工事で手抜き工事が現地で横行しているためで、作業現場を確認しに訪れる消費者もみられる。
中国では地方政府ごとで法律などのルールが異なることも難題だ。さらに大和ハウスの場合、中国事業での収益は中国内での再投資に回すよう指導があったといい、「日本のように稼いだ収益を自由に他事業に回すことができない」(同社担当者)という事情も中国での住宅ビジネスの難しさを物語っている。