【上海=河崎真澄】中国人民銀行(中央銀行)が人民元の対ドル為替レートの算出方法を変更し、11日に事実上、約2%の切り下げに踏み切ったことは、中国が輸出減少や内需低迷による成長の鈍化に強い焦りを感じていることを示す。一方、為替市場の自由化に逆行したかのような相場管理強化で、市場では「経済構造の改革路線や人民元の国際化は大幅に後退した」との見方が広がっている。
11日の上海外国為替市場で、人民元の対ドル相場は前日終値比1・8%安と急落して取引を終えた。下落幅は1994年の市場開設以降で過去最大だった。
中国が元安誘導へ経済政策のカジを切り、初日からこれほどの元安を容認した背景には、国内総生産(GDP)成長を支える実体経済の指標がいずれも振るわない厳しい現実がある。
8日発表された7月の貿易統計で輸出入を合わせた総額が前年同月比8・2%減と、5カ月連続で前年同月を下回った。賃金高騰と元高のダブルパンチで輸出競争力が低下している。11日発表された7月の新車販売台数も同7・1%減で4カ月連続のマイナスと、内需の弱さを示している。