「脱家電」を打ち出すパナソニックが農業関連事業参入を本格化させている。センサーを内蔵し、温度や日照量を自動制御する“ハイテク”ビニールハウスを発売したほか、福島市の工場敷地内に発光ダイオード(LED)と空調を用いた植物工場を設置し腎臓病患者用の低カリウムレタスなどを栽培。農業は将来的に成長が見込める分野と判断して「本気」で取り組んでいる。畑違いとはいえ、家電で培った温度や照明の制御技術などを応用した商品は農業や作業を変える可能性を秘めている。(藤原直樹)
素人でも簡単に栽培
「改良を重ねてシステムが完成すると、最終的にはハウス栽培が初めての人でも簡単においしい野菜をつくることができる」
パナソニックで農業事業や集合住宅事業を担当する子会社の柴達也取締役は、こう強調する。
パナソニックが販売するビニールハウスには生産者の栽培ノウハウをデータ化した制御装置が付属されており、センサーが感知した外気温や天候などを分析して遮光カーテンが自動で開閉するほか、送風や散水も自動的に行うことで常に最適な栽培環境を維持する。