シャープが再び経営危機に突入した。リストラ費用捻出のため、主力行への1500億円規模の資本支援の要請検討が判明。「液晶一本足」からの脱却のため事業を温存し続けた結果、太陽電池やテレビ事業などの改革が国内を中心に遅れたことが響いた。市場の目が厳しくなる一方で、経営陣の責任も問われそうだ。
今回、シャープが検討している債務の株式化は、2004年に双日ホールディングスや三菱自動車が経営の健全性を示す自己資本比率が1%台に陥り、社債の償還の際に活用したことがある。財務バランスの改善にはつながったが、債務超過を回避するための“窮余の策”で、予断を許さない状況といえる。
シャープが経営危機に陥った原因は、赤字事業を採算に乗せることができないままリストラの遅れを招いたことだ。液晶テレビ用パネルの供給過剰が原因で、2012年3月期から2期連続で巨額赤字を計上。約3000人の希望退職を募った。しかしこれ以降は、海外で太陽電池やテレビ事業を縮小したものの、国内では目立った構造改革に取り組んでいない。