第5世代戦闘機向けのエンジンにはさらに、直径を極力小さくすることが求められている。「直径を大きくすれば推力を上げられるが、相手に探知されやすくなる」(防衛省技術研究本部幹部)ためだ。ステルス戦闘機の場合、正面から見た断面積をどこまで小さくできるかが戦闘能力の差となって現れる。
HSEの推力は実証エンジンの3倍ながら、直径は実証エンジンの70センチに対して約1メートルに抑える。世界的にもこの馬力のエンジンの直径としては極めて小さいという。
米国製上回る技術
HSEは第5世代戦闘機向けに、推進方向を機動的に変えられる機能も持ち、完成すれば世界有数のステルスジェットエンジンとなるのは間違いない。
すでに実証エンジンは5トン級では、加速性能の目安の一つである「推力重量比(地上最大推力÷エンジン重量)」で米国製を上回るなど国産エンジン技術は長足の進歩を続けている。