宇宙空間では、雲などにさえぎられることなく、静止衛星の軌道上に並べた太陽光パネルに常に安定的に一定の電力を集めることができる。このため地上に設置するより発電効率を大幅に向上できる。ただ宇宙空間で得た電力を有線で送るわけにはいかないため、無線送電が最も重要な技術となる。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)もこのほど、無線送電実験を実施し、約55メートルの送電に成功した。
中長期的に他国に依存しない新たなエネルギー源を模索している経済産業省は、宇宙太陽光発電の開発支援に乗り出し、研究開発に助成金などを支出している。ロードマップも作成し、地上での実験の後、小型衛星や大型衛星での実証を重ね2030年代にはメガワット級の発電ユニットを配備。50年までに実用化を目指す。
ただ、課題も多い。現状の技術では、電力をマイクロ波へ変換する手間がかかるほか、送電効率も悪く、出力100万キロワット級の装置の場合、1兆円以上のコストがかかるといわれている。実用化に向けては一層の低コスト化が欠かせない。