しかし、世界の物流業界ではDHLなどを傘下に持つドイツポスト、米ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)、米フェデックスといった3強が4位以下で構成する2番手グループを大きく引き離しており、アジアでも存在感は大きい。
市場調査会社によると、トールを加えた日本郵政グループは2番手グループに食い込むが、シェアはわずか2%強とみられる。3強でさえシェア5%足らずという熾烈(しれつ)な競争が続く国際物流市場は、今後も再編による淘汰の波にさらされる可能性が強い。
日本郵政はいうまでもなく本格的な国際物流事業の経験はない。西室社長は「過去の(提携事業の)経験があるから買収を決断できた」と説明するが、図らずも日本郵便の国際展開のトール買収は国際物流業界再編の口火を切ることになるかもしれない。
「(国際市場進出への)時間を買った」と説明する西室社長だが、これで十分だとは考えていないようだ。さらなる投資については「何も決めていないが、必要ならトールと一緒に検討していく」と“二の矢”に含みを持たせる。