【郵便局の挑戦】(1)
来年の株式上場に向けて、日本郵政の構造改革が最終段階を迎えている。上場は、全国2万4000カ所の郵便局ネットワークを抱え、郵便・金融事業の基盤増強、新規事業の成長戦略、ユニバーサル(全国均一)サービスを同時に目指す壮大な実験といえる。就任以来、長年の国営体質から巨大民間企業への脱皮を目指して矢継ぎ早に構造改革に取り組んできた西室泰三社長は「上場は来年夏になりそうだ」と発言。大型上場がいよいよ秒読みに入った。
景気冷え込み回避
西室社長は、フジサンケイビジネスアイの取材で、上場時期について「準備は来春までに整えて、上場は夏頃になりそうだ」と述べた。これまで来年秋とみられていた上場時期を、夏と明言した背景には「(来年10月に予定されている)消費税増税で想定される景気の冷え込み時期を避けたい」(日本郵政幹部)考えもありそうだ。
実際には、株式売却益を当て込む政府や、上場基準を審査する東京証券取引所の判断でずれ込む可能性はあるものの、「上場準備が次のステージに移った」(西室社長)ことを象徴している。日本郵政は上場に向けた企業インフラ整備のため、情報システムの統合や物流ネットワークの再構築を急ぐ。