株式上場まで半年余りに迫った日本郵政グループが、本業のてこ入れに向け本格的なM&A(企業の合併・買収)に乗り出した。郵政グループとして過去最大規模の企業買収によって、日本郵便は「国際物流のグローバル・リーディングプレーヤー」(西室泰三・日本郵政社長)を目指すが、競争の激しい世界市場で大手の一角に食い込むにはなお多くの時間がかかりそうだ。
郵便市場の減少傾向が続くなかで、成長分野の物流事業で世界市場を目指すのは当然ともいえるが、これまでの海外企業との分業的提携事業と異なり、初めて自ら世界市場で競争にさらされることを意味する。
豪トール・ホールディングスは世界に1200カ所超の拠点を持っており、日本郵便は自ら国際物流事業を展開するために必要な物流網を手に入れることになる。西室社長は「今後の成長が著しいアジア太平洋地域に強い」とトール買収のメリットを強調する。