A380の導入計画は「超ワンマン」で知られた前社長、西久保慎一が主導したものだった。スカイマーク関係者は「国際線参入は西久保氏にとって悲願だった」と説明する。
当初は14年10月にA380の初号機を受け取り、同社初の国際線として14年末にも成田-ニューヨーク線に就航させる計画だった。型破りの手法で業容を拡大してきた西久保には、好業績の余勢を駆って「2強」の日本航空や全日本空輸に一気に肩を並べようとの思惑もあったようだ。だが、これだけの超大型機を使いこなせる航空会社は世界でもそう多くない。当初から日本の航空業界では冷めた反応が多かった。「話を聞いたときは『超無謀』だと思った」。大手航空会社の役員はこう振り返る。「国際線経験ゼロの会社がいきなり超大型機で長距離路線を展開しても、うまくいくわけがない」
西久保の下で突き進んだ拡大路線の象徴といえるA380の導入計画。全6機がキャンセルとなり、会社の経営が破綻した今も、エアバスとの違約金問題は着地点を見いだせていない。