米国でのサービスは数千万曲が聴き放題となり、月9.99ドル(約1020円)の有料と、無料で音声広告付きの2本立て。世界で約2400万人の会員を抱える。同社は既に日本法人を立ち上げているが、ストリーミング型を代表する「黒船」の日本上陸は、実際には「難航している」との見方がもっぱらだ。
背景には、CDやDVDなどのパッケージ商品が主流となっている日本独特の市場構造がある。若年層向けにはアイドルと触れ合える「握手券」などの特典を付け、CDを売るビジネスモデルが定着。一方、中高年層には歌詞カードなどがつかない音楽配信よりも「ジャケット付きの音源を持っていたい」というファンも多い。今月2日にはローソンHMVエンタテイメントが東京・渋谷にレコード・CDの中古専門店を開くほど「実物」への需要は根強い。
それだけに、配信よりもCDアルバムの販売を優先したいと考える日本のアーティストは少なくない。