都市計画においても、最初に都市の軸線を決めた欧州とカオスな街並みを作った日本の風景は異なる。
この事例を今まで文化差の説明としてぼくも何度か使ってきたが、これは乗り越えられないギャップなのかとよく思う。細部が丁寧で全体のイメージも秀でることは、夢想でしかないのだろうか。
そんなことはない。
ねらい目は細部への拘り方を変えることだと思う。細部を粗野に扱うのではなく、細部と全体を繋ぐところにこそ、人が積極的に介入するスペースを作ることではないか。別の表現をとれば、聖的な要素を消し去ることだ。
小さな一つのことを、少し離れたところから眺め、それを大きな像に結びつける。それができれば最高に美しいクルマも実現可能だ。
文化理解を諦念のために使ってはいけない。勇気を得るために使うのだ。(安西洋之)
【プロフィル】安西洋之(あんざい ひろゆき)
上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『世界の伸びる中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih
ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。