単純に1600人で200億ウォンを割り算すれば、1250万ウォン(約125万円)。一生を棒に振るには安すぎる額だが、実際には棒に振るどころか書類送検で終わるあたり、かつて軍事独裁政権だった韓国の甘さが感じられる。ただ、こうした“軍エリートの特権”にあずかれない人々の不満も吹き出ている。
両足失い、治療費は“自腹”
軍で得をするのがエリート部隊なら、損をするのは下級兵士たちだ。昨年8月4日、北朝鮮軍が仕掛けたとされる地雷の爆発で2人の兵士が重傷を負った。うちハ・ジェホン伍長(当時23)は両足をひざあたりから切断しなければならなかった。手術は成功したが、その後の入院治療で思わぬ展開が待っていた。
韓国では公務による負傷の治療を民間病院で受けた場合、治療費の支給期間は最大30日に制限するとの法律があったのだ。ハ伍長は以降の入院費や治療費を自腹で払うはめとなった。
この問題は韓国内でも波乱を呼び、最終的には朴槿恵大統領がハ伍長の病室に見舞いに訪れ、「国家が最後まで責任を負って当然」としたうえで軍での雇用を約束した。