政府は11日の閣議で、駐スイス大使に本田悦朗内閣官房参与を充てる人事を決定した。発令は同日付。本田氏は安倍晋三首相の経済ブレーンとして知られ、平成24年12月の第2次安倍政権発足に伴い、内閣官房参与に就任。反増税派の論客としてもその発言が注目されていただけに、来年4月の消費税率10%への引き上げの是非をめぐる首相の最終判断を前に、異例の人事となった。
本田氏は11日、産経新聞の取材に対し「アベノミクスの意義をしっかり議論していきたい」と述べた。16日から始まる国際金融経済分析会合に出席するなど伊勢志摩サミットまでは参与職を兼務し、スイスへの赴任は6月上旬の予定。
スイスは世界経済フォーラム(ダボス会議)が開かれるほか、主要な国際機関が拠点を置くなど海外要人の往来が多い。本田氏は旧大蔵省(現財務省)出身だが、外務省欧州局審議官を歴任するなど外交手腕への評価も高い。
首相の経済運営をめぐっては、消費の失速や株価低迷を背景に、来年4月の消費税率10%への引き上げが焦点になっている。再増税に慎重な本田氏の今回の処遇は、首相の増税判断に影響を与える可能性もある。
【プロフィル】ほんだ・えつろう
東大卒。昭和53年大蔵省。静岡県立大教授を経て平成24年12月から内閣官房参与。61歳。和歌山県出身。