安倍晋三首相は3日の参院予算委員会で、2017年4月の消費税率10%への再増税を予定通り実施する意向を重ねて表明した。「リーマン・ショックや大震災級の事態が起こらない限り、基本的に現段階では引き上げていく考えだ」と述べた。日本経済の先行きについては「新興国経済や市場動向に注意が必要だが、雇用や所得環境の改善が続く中、民需に支えられた景気回復が見込まれる」との見通しを示した。
前回14年4月の税率8%への引き上げに触れ「予想よりもはるかに消費の落ち込みが大きく、長く続いた」と説明。再増税に関し「国民に納得していただく必要がある。消費への影響にも配慮しなければならない」として、軽減税率制度導入の意義を訴えた。
軽減税率で事務負担が増す中小零細企業対策を念頭に「スムーズな導入が大切だ。なるべく混乱が起きないように全力を挙げたい」と語った。
日本経済の現状については「ファンダメンタルズ(基礎的条件)はしっかりしたものだ」と強調。円高傾向に関し「世界の金融市場が変動しているときに、一番リスクが少ないと思われている円が買われた。日本経済に対するある種の信認もある」と分析した。
自民党の宮沢洋一、中川雅治、公明党の西田実仁、共産党の小池晃各氏への答弁。参院予算委は16年度予算案に関する2日目の基本的質疑を実施した。