8日発表された2015年10~12月期の実質GDP改定値は、速報値から若干、上方修正されたものの、2四半期ぶりのマイナス成長に変わりなく、景気の足踏み状態が改めて確認された。個人消費中心に回復の動きは鈍く、てこ入れに向け追加の経済対策は不可避の情勢だ。政府が16日から始める、有識者と世界経済情勢について意見交換する「国際金融経済分析会合」でも、経済対策の判断が大きな焦点になりそうだ。
「世界の経済状況に適切に対応しないといけない」
石原伸晃経済再生担当相は8日の会見で、国際金融経済分析会合を開く意義をこう強調し、5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に向け、計5回程度開催する方針を打ち出した。
会合には安倍晋三首相のほか、石原氏や麻生太郎財務相ら関係閣僚、黒田東彦日銀総裁も出席。ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授やデール・ジョルゲンソン米ハーバード大教授らとの意見交換を踏まえて、サミットでの議論に生かす考えだという。
与党内では、同会合の議論が追加経済対策に向けた判断にも影響するとの見方が急浮上している。年明け以降、日本だけでなく世界経済の減速感が強まる中、サミットでは世界経済の現状をどう認識し、対応した政策を打ち出せるかが焦点になるからだ。2月に上海で開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも、財政出動で景気を刺激する必要性に焦点が当たった。サミット議長国の日本が、伊勢志摩で対策を表明できれば格好のアピール材料にもなる。
ただ、政権内からは3月末の予算成立後、直ちに16年度補正予算案の編成を求める声も強まっており、首相ブレーンの本田悦朗内閣官房参与は「最低5兆円の対策が必要だ」と主張する。