3月には今年度から10年計画でスタートする「現庁舎周辺まちづくりビジョン」を策定したばかりで、再開発計画もめじろ押しだ。外国人にも人気のアニメ文化を中心ににぎわいあふれるまちづくりを目指すが、「役所主導で民間の活力が乏しいと判断されたのか」と残念がる。
確かに池袋は都市再生の取り組みが遅れていた。旧・巣鴨刑務所跡地を再開発して1978年に開業した池袋サンシャインシティ以降、大規模な再開発事業がほとんど実現していない。品川、新橋のように駅近くに再開発に適したまとまった土地がなく、港区に特化した森ビルや渋谷を拠点とする東急グループのように再開発を強力に推進する大手不動産会社もなかった。
こうした状況に強い危機感を抱いたのが、99年に区長に就任した高野之夫氏だ。豊島区で古書店を経営する商店主という経営感覚を生かし、行政主導での再開発事業に乗り出した。区が保有する公共用地を活用して民間の再開発事業を誘導するとともに公共施設の整備も進める手法を導入。その目玉プロジェクトが来春に完成する地上49階建ての超高層マンションを併設した新庁舎だ。