法人税率の引き下げをめぐる、閣僚間の駆け引きが激しくなってきた。甘利明経済再生担当相は24日の記者会見で、6月にもとりまとめる経済財政運営の指針「骨太の方針」に法人税引き下げを盛り込む考えを示唆した。一方、麻生太郎財務相は同日、税体系全体のあり方の議論が欠かせないとの認識を示し、早期決着論を牽制。代替財源の問題も含め今後、白熱した議論が展開されそうだ。
安倍晋三首相は22日(日本時間23日)、スイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の基調講演で「本年、さらなる法人税改革に着手する」と表明。各国の経営者らを前にした演説で税率引き下げを国際公約にした形だ。
この発言にすぐさま呼応したのが甘利氏。24日の記者会見で、「骨太の方針にどう表現できるのか、(議論を)醸成していく」とし、6月段階で一定の方向性を示したい意向をにじませた。与党の税制調査会とも連携し、「経済財政諮問会議を中心に減税が税収に与える影響を検証して、スケジュール感を詰めていく」方針だ。
一方、麻生氏は「欧州では消費税はいくらになるかというと20%を超えている。日本も法人税を下げて消費税を20%にするという議論になるか」と指摘。「(法人税率の引き下げは)大局的なものとして考えなくてはならない」とくぎを刺した。
麻生氏は同日の財政演説でも、日本の財政は「歴史的にも諸外国との比較でも極めて厳しい状況」だとし、財政健全化目標を達成するため「税収を拡大させ、継続して歳出を効率化していく」と強調した。
ただ、平成26年度税制改正で、復興特別法人税の前倒し廃止が官邸サイドの強い圧力で押し切られたこともあり、財務省は「極めて強い警戒感」(幹部)を持って対応することになる。