首都マニラから車で約1時間。稼働を始めたばかりのフィリピン工場で、バンダイの岡田圭介執行役員はクリスマスを迎えた。
「ようやく間に合わせることができる」。カプセル玩具事業の責任者である岡田氏は、この工場で製造しているアニメキャラクターのフィギュアの仕上がりに安(あん)堵(ど)した。
岡田氏が「間に合わせよう」と意識したのは、もちろん4月の消費税率引き上げだ。フィリピン工場では今後、新開発したフィギュアなどを用いた100円、200円の低価格帯カプセルの生産に対応することになる。人件費が高騰した中国から生産拠点を移管し、コスト削減を図るためだ。
一方、バンダイは消費税率の引き上げに合わせ、500円などの高価格帯のカプセルもてこ入れする。これまでの球型のカプセルには入りきれない大型の玩具を提供するため、円筒型カプセルを投入する。
■節約もぜいたくも
カプセル玩具をめぐるバンダイの対応は、消費税率引き上げ後の消費者の動向をにらんだものだ。キーワードは“二極化”。増税によって消費者の節約志向が再び強まるとの観測もある一方、アベノミクスによる景気回復の流れを受け、趣味やこだわりの商品には出費を惜しまないという観測もある。企業にとっては、難しい対応を迫られるが、同時にこれをチャンスにしようという動きもある。
その代表例が、そごう・西武が取り組むSPA(製造小売り)だ。