外国で女性将兵はいかに登用されているか?
世界に目を転じれば、女性将兵の採用は(1)全戦闘部門に登用(2)潜水艦を除き登用(3)特殊作戦部隊など、精神・身体能力の高い者を選抜したエリート部隊やフロッグマンを除き登用(4)潜水艦と地上部隊を直接攻撃する戦闘部隊を除き登用(5)戦闘支援部隊に限定(6)衛生・音楽部門に限定(7)全面排除…などに大別される。
海自も、6%に満たない海自女性自衛官を1割に増やす計画だ。既に、陸海空自衛隊には固定翼・回転翼の航空機パイロットが活躍中だし、空自も戦闘機パイロットが誕生間近。女性の参加で、国家防衛を厚くする時代に入りつつあるのだ。
「日本は武力侵攻されない」「侵攻されたら、米軍に守ってもらう」と夢を見ている日本人は、男女の別なく、大谷さんは腹の据わり方を学ぶがよい。
「現在はもう、男女間に配置制限がかけられなく成った。女性ならではのきめ細やかな気配りのみならず、屈強な心身も不可欠。女性だとの甘えも許されない。全てが実力次第。国家を守る任務が男性だけでよいのか。国家を守る任務に男も女もない。男性と国防任務を分かち合いたい。そういう時代を迎えた」
実際、大谷艦長が預かる《やまぎり》にも女性自衛官が10人乗艦する。女性居住区に暮らし、入り口にはインターホンを備える。24時間勤務の交代時に、部屋に入って起こすことができない男性乗組員に気配りした設備だ。
ところで、再婚相手も一般大学出身の海自幹部で、しかも「船乗り」。幸い? 前夫も夫も1佐(大佐)で、ときに出現する自衛官夫婦の階級逆転現象は起きていない。ともあれ、大谷さんでさえ、国家への愛と、家族への愛を、何とか両立させたいと、今日も悪戦苦闘している。
取材を通し、英国首相だったマーガレット・サッチャー(1925~2013年)を尊敬するワケが納得できた。安全保障と真剣に向き合い、家庭とも両立した「鉄の女」を理想としているのである。