実際、公取委関係者によると、決別宣言から1年も経っていない翌06年にはすでに、道路舗装各社による談合が行われ、11年3月の東日本大震災後、「復興という大義名分」(関係者)を得る形で、談合を本格化させた疑いがあるという。
道路舗装業者には談合と決別したはずの大手ゼネコンの名を冠した鹿島道路、大林道路、大成ロテック、竹中道路などの系列社の名も並ぶ。関係者によると、高速道の補修工事は利益が少なかったため落札率をつり上げ、利益を確保することが目的だったという。
ただ、なれ合いの談合体質にも徐々に変化の兆しがみられる。今回の談合の端緒が、リーニエンシーによる申告だったとみられるためだ。14年3月に告発された北陸新幹線の融雪設備工事をめぐる談合事件も端緒はリーニエンシーだった。
リーニエンシーを使わなかった企業が株主から課徴金と同額の損害賠償を求められるケースもあり、独禁法に詳しい元検事の郷原信郎弁護士は「リーニエンシーは談合の摘発に大きな効果を上げている」と指摘する。(SANKEI EXPRESS)
■高速道路の震災復旧工事 東日本高速道路は2011年9月~12年12月、東日本大震災で被災した高速道路計17路線で、路面に生じた段差や脱落した橋桁などの修復工事を実施。区間の距離は計633キロで総事業費は584億円。490億円を国の補助金で賄った。このうち12件の工事で談合が疑われており、落札総額は約176億円だった。