国土交通省の有識者委員会は25日、くい打ち工事問題の再発防止に向け、建設会社など元請け業者がくい到達に責任を負い、固い地盤の把握が難しい現場では立ち会いを求める中間報告をまとめた。報告で傾斜した横浜市のマンション工事について、下請けとして関わった日立ハイテクノロジーズが、孫請けの旭化成建材(東京)に業務を丸投げしていた疑いを指摘。元請けの三井住友建設について両社への指導・監督が不十分だったとの認識を示した。
国交省はこうした実態を受け、来年1月にも再発防止策を盛り込んだ建設業界向けの施工指針案を公表、業界に対し指針に沿った施工ルールの作成を求める。法改正など規制強化には慎重姿勢を崩しておらず、現場への対応徹底が課題となる。
横浜のマンションのくい打ち工事では下請け2社が建設業法で定める専任の主任技術者を置いていなかった点も問題視し、国交省は3社の行政処分を判断する。丸投げと認定されれば、下請け2社は営業停止処分となる可能性が出てきた。
中間報告は「元請けが工事全体を管理する統括的な役割を果たすことが重要」と強調。その上で、三井住友建設はくいの到達などに関する電流計データを定期的に確認しておらず「くい到達の判断が下請け任せだった」と指摘した。下請け2社が専任の主任技術者を置いていないことを認識していたのに、是正を指導しなかったと認定した。