白紙撤回された2020年東京五輪・パラリンピックの旧エンブレム問題で、大会組織委員会が設置した外部調査チームは18日、組織委の元局長らが、事前に参加を要請した佐野研二郎氏(43)ら8人のデザイナーの作品を優遇し、2次審査に残すため不正を行っていたとする報告書を公表した。
一方、2次審査以降は適正に行われ、「佐野氏の作品を当選させることがあらかじめ決まっていた『出来レース』との批判には当たらない」とした。
報告書によると、電通から出向し、後に更迭された組織委の槙英俊・元マーケティング局長と高崎卓馬・元クリエイティブ・ディレクターの2人は、8人の作品を事前に把握した上で、昨年11月の1次審査で永井一正審査委員代表に働きかけ、票が不足していた2作品に投票させた。
永井氏は8人全員が2次審査に進めるよう槙氏らに希望を伝えていた。1次審査では、応募作104点の作者名を伏せて投票が行われたが、永井氏の追加投票の結果、8作品はいずれも2次審査に進んだ。
調査チームは「公平さや透明性の重要性を職員に徹底できていなかった」と組織委の体質を批判した。