イタリアの高級スポーツカーメーカー、フェラーリが21日、ニューヨーク証券取引所に株式を上場し、初日の終値は売り出し価格を3ドル上回る55ドル(約6600円)を付け、上々のスタートダッシュを決めた。株式時価総額は104億ドル(約1兆2500億円)で、日本のマツダに匹敵する規模。年間生産台数がわずか約7000台と、台数より希少価値を追求するビジネスモデルが市場で評価された。ただ、上場を機に生産台数を3割多い9000台に増やす方針を打ち出し、マニアらの間では「ブランド価値が下がる」と失望の声が出ている。
「車自体が投資対象」
「フェラーリの車はパフォーマンス、高級さ、そして様式美の典型である」
親会社である欧州自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の最高経営責任者(CEO)とフェラーリ会長を兼務するセルジオ・マルキオーネ氏(63)は、取引所前にずらりと並んだ車を前に胸を張った。
銘柄コードは「RACE(レース)」。自動車レースの最高峰F1の名門チームにふさわしいコードが採用された。投資家の人気も高く、初値でいきなり60ドルを付け、エンブレムに描かれた「跳ね馬」の勢いを見せつけた。フェラーリ株の約9割を保有していたFCAは、約1割を売却して得た資金で世界販売台数の大幅な引き上げを目指す。