≪「必要悪」 なれ合い体質変わらず≫
談合と“決別”したはずの業界は何も変わっていなかったのか。東京地検特捜部と公正取引委員会が20日に道路塗装各社の捜索に乗り出した東日本大震災の道路復旧工事談合。特捜部は旧態依然としたなれ合い体質の実態解明を進めるが、制度改正で談合への包囲網が狭まる中、「必要悪」と解される風潮にも変化の兆しが見え始めている。
上意下達の組織形成
「上と調整せずに受注したら、連絡役の担当者がやってきて、『あれは上が取る工事だったんだ』とえらい剣幕(けんまく)ですごまれた」
こう打ち明けるのは、業界では比較的下位に位置する道路舗装会社の関係者だ。「上」とは談合グループ20社のうち、年間売上高が300億円超の上位12社のグループを指していた。
公取委によると、談合は震災前から繰り返し行われていた。談合の疑いがある震災後の12件の工事でも、下位8社のグループは従属的だったとみられる。
下位グループの関係者は「下には小さな工事が落ちてくるだけだが、談合は連綿と続いており、(グループから)抜けるという選択肢はなかった」と話す。業者の規模や受注実績によって工事が割り振られ、“上意下達”の談合組織が形成されていた可能性がある。