一度に使う食材は50種類ほど
一方、「雲片」は料理をする際に出る根菜などの切れ端を炒め、吉野葛でとろみをつけたもの。「うちは、これを春巻きの皮で巻いて揚げ物にしています。『何も無駄にしない』という禅の心が入った料理なんです」と、料理を担当する妹で銀杏庵の女将(おかみ)、家永澄子さん(69)。
イチジクにセロリやパプリカなどの洋野菜をあしらった「野菜サラダ」。ムラサキズキン(エダマメ)のかき揚げや、マツタケ、マコモタケなどの揚げ物6種が盛られた「天ぷら」。豪快な焼きマツタケをメーンに2種の和え物を添えた「焼き物」から、最後の和菓子まで、“めくるめく”と表現したくなる滋味豊かな料理が次々に登場する。
「ご飯は、秋はマツタケ、冬はクロマメとギンナン、春はタケノコ、夏は梅干しご飯。食べきれへん言うて、ご飯とお漬物はお持ち帰りにされる方が多いです」と澄子さん。料理で一度に用いる野菜の種類をたずねると「数えたことないけど四、五十ぐらいやろか」。