【京都うまいものめぐり】
風情ある木造建築の京風お茶屋。純和風のたたずまいで提供されるのは洗練されたイタリア料理というアンマッチが、訪れるグルメたちの遊び心をくすぐる。イタリア人シェフが腕によりをかける一皿一皿は味の濃淡や見た目の色彩、食材同士の相性を計算しつくし、盛りつけにもこだわる。スコルピオーネ祇園で提供される“美的”料理をいったん味わえば、特別な日に特別な人ともう一度足を運びたくなる。
祇園の一角にあるお茶屋を改装しオープンしたのは2002年2月。店内2カ所にある坪庭にはツバキが植えられ、石灯籠がしつらえられている。店名の「スコルピオーネ」とはイタリア語でサソリ。それを思うと照明を落とした部屋は少しミステリアスだが、落ち着きを与えてくれる。
塩気とうま味で食が進む
滋賀県産の鹿肉をローストした一皿は、青じそと赤じそがサラダ風にふんわりと盛りつけられ、添えられた山ワサビとバルサミコ酢のソースで味わう。コース料理に組み込まれることが多いというジビエ(野生の鳥獣肉)メニューは、「ヨーロッパやシンガポールから来日する旅行客に特に人気」(河合寛マネジャー)だそう。