この案は12年の衆院解散・総選挙で雲散霧消。実現するには「慰安婦問題は解決済み」との立場の変更が前提条件になり、安倍政権が受け入れる余地はない。
米の譲歩要請に配慮
今回、日韓両政府が慰安婦問題の協議加速を「演出」した背景には、米国の要請もある。米側は折に触れ、日本側に慰安婦問題での譲歩を求め、韓国側にも日本との関係修復を迫ってきた。ともに米国の同盟国である日本と韓国の関係が冷却したままでは、東アジアの安全保障環境にとっても好ましくないからだ。
日韓両政府は昨年4月以来、慰安婦問題に関する外務省局長級協議で話し合いを続けており協議の行方が注目される。ただ、韓国では、慰安婦問題は反日団体「韓国挺身隊問題対策協議会が拒否権を持っている」(元韓国外務省高官)といい、問題妥結はまだ見通せない。(田北真樹子、阿比留瑠比/SANKEI EXPRESS)