一方で、同行筋は記者団に「補償の解決済みの問題と、人道的な見地に立ったこれからのさまざまなフォローのあり方についてすみ分けをしている」とも述べた。法的には解決済みでも、何らかの形での元慰安婦への支援は可能だということに含みを残している。
例えば、元慰安婦に償い金を支給したアジア女性基金が2007年に解散した後も外務省が続けるフォローアップ事業がある。外務省は年間1500万円の予算をつけ韓国や台湾などの元慰安婦に生活必需品を届けており、自民党の河村建夫・日韓議員連盟幹事長(72)も朝日新聞のインタビューで事業の拡充を提案している。ただ、韓国側は人道的支援よりも、日本政府の関与を重視する。政府による補償や謝罪は、日本が慰安婦問題でより公的に「罪」を認めたことになるからだ。
10~12年には、当時の野田佳彦(よしひこ)政権が李明博(イ・ミョンバク)政権に(1)首相の公式の謝罪(2)駐韓日本大使による元慰安婦への謝罪(3)日本政府予算を使った補償-との解決案を示したと報道された。李氏も回顧録で同じような提案があったと明かしている。