安倍晋三首相(61)は2日の韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領(63)との首脳会談後、慰安婦問題について記者団に「早期の妥結を目指して交渉を加速させていくことで一致した」と強調したが、具体的中身や方向性には言及しなかった。日韓間の認識の隔たりは「一度の会談で埋まるものではない」(政府筋)。今回の会談の成果は、目に見える前進というよりも、交渉継続の確認による当面の日韓関係の安定化だといえそうだ。
首相「解決済み」強調
「慰安婦問題は、日本は日韓基本条約を含めたさまざまな条約の中で、解決済みという認識で今日まで対応している」
日韓首脳会談後、同行筋は記者団にこう述べ、「現段階で合意がある事実はない」と指摘した。日本政府の立場に変更はないことが強調されていた。
韓国側は首脳会談に向けた事前折衝で、朴氏主催の昼食会などを交換条件に譲歩を迫ってきたが、日本側はこれを拒んだ。安倍首相は周囲にこう苦笑した。
「昼飯なんかで国益を削るわけにはいかない」