スープは「ポルチーニと山のポーシュ、フォアグラのソテー」。全体にコーヒー色を帯びたこのスープは、イタリアのマツタケといわれるポルチーニをペースト状にし、ミルクを白い泡状にして組み合わせた。マッシュルームを飾り付け、フォアグラは浮き実として使い、飲むというよりも食べるスープだ。スプーンですくい取って口に含むと優しい味覚のハーモニーが広がる。
こんもりと盛りつけられた“秋の目玉”メニューというパスタは「カラスミとマツタケのバベッティーネ」。リングイネをオリーブオイルで調理し、粉状の黄色いカラスミをたっぷりとかけた。あぶっただけで素材の持ち味を生かしたマツタケは風味も楽しめる。カラスミの持つ塩気とうま味が麺にまとわりつき、つい食が進む絶品だ。
アワビのステーキは、すりがねでおろしたペコリーノというイタリアのチーズに、ミント、オレガノという香草を添えて提供される。直径約30センチの皿の先方に半月状に盛られ、手前にアワビの肝のソースが添えられる、一種芸術的な盛りつけだ。海の幸アワビとチーズは意外に相性が良く新鮮な味わいが体験できる。