日本人なら大好きなエビは、とりわけ大ぶりのブラックタイガーを使用。とんかつは厚めに切られた四万十ポーク。千切りキャベツも添えられ、ボリュームもたっぷり。見ているだけでもおなかが鳴りそうだ。
160度の日替わりの油でじっくりと揚げた厚切りのとんかつは、さっくりとした歯応えと肉のうまみが広がる。フルーティーなオレンジ風味の自家製ソースをまとわせると、ご飯が進むこと請け合い。エビフライにつけるタルタルソースは、京都大原のしば漬けをピクルスとして刻んでおり、洋食であっても京都らしさが香り立つ。
揚げ油のにおいが食欲をかき立てる半面、満腹や体調不良の時はつらいと思うこともあるが、綾綺殿が使う油は新鮮で香ばしく、胸焼けしないのも油店ならではだろう。油の鮮度と質も、重要な味の決め手だ。
まるで練りゴマ
また、ゴマ油をとろりとかけた「玉締めしぼり胡麻油の豚丼」も捨てがたい。ちなみに玉締めしぼりとは油の製造方法のこと。一般にスーパーで販売しているゴマ油は機械で熱風と圧力をかけて絞り出すため、力強い味と濃い茶色が持ち味となるが、昔ながらの玉締め機で作るゴマ油は、丁寧に焙煎し、油力でじっくりと圧力をかけて抽出し、和紙で濾過(ろか)をする。