安倍政権の支持率を支えてきた大きな原動力は、アベノミクスだ。金融政策・財政出動・成長戦略を組み合わせた「三本の矢」を掲げ、大胆な金融緩和と財政出動は円安・株高を誘導し、企業業績を大幅に回復させた。
ただ最近は、中国経済が減速している影響もあって景気回復の勢いに陰りが見られる。8月17日に発表された4~6月期の実質国内総生産(GDP)の速報値は、3四半期ぶりのマイナスに転落。個人消費は低迷し、日銀が掲げる物価上昇目標にも黄信号がともる。
安倍首相は、6月に閣議決定した成長戦略で、頭打ちが懸念される潜在成長力の底上げを掲げたほか、日本経済の最大の不安要素となっている財政健全化にも着手、少子高齢化に伴って増大する社会保障費の抜本的な見直しを進めている。
これに対し、野田氏は8月下旬の講演で、アベノミクスを大筋で評価しつつも、「一部の大企業がもうかる恩恵が下層まで広がる現象が現実に起きていない。中間層から低所得者が傷んでいる」と述べ、政策の再考を促した。
首相と野田氏との違いが顕著に出そうなのが消費税増税だ。首相はこれまで、17年4月に予定通り税率を10%まで引き上げるとしているが、首相周辺では増税見送りを主張する意見も根強い。野田氏は、古賀誠・元幹事長ら財政再建論者と近く、再度の先送りに反対する可能性が大きい。(SANKEI EXPRESS)