環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の首席交渉官会合が米ハワイで始まった。日米両国は交渉の漂流を避けるため、28日からの閣僚会合で大筋合意にこぎつける構えだが、カナダやマレーシアなどはそれぞれの国内事情から慎重姿勢を崩していない。決着か長期化かの瀬戸際を迎え、日米は焦りを強めている。
カナダなど3カ国慎重
「ゴールテープに手が届くところまできたが、交渉は最後が一番難しい」。安倍晋三首相は24日、官邸でのTPP関係閣僚会議で、緊張感を持って臨むよう求めた。
米国はTPPをオバマ政権の「遺産」にしようとしている。来年の米大統領選などの政治日程や、議会手続きを勘案すると、交渉妥結には今月中の大筋合意が必要と両国はみている。両国間の最大の懸案事項である日本のコメ輸入の扱いは決着のめどが付く見通しだ。
こうした中、日米が全体交渉の遅れを懸念するのが、カナダとニュージーランド、マレーシアだ。カナダは日本と「実質的にほとんど交渉していない」(交渉関係者)。米国との協議でも鶏肉と乳製品の市場開放に消極的な姿勢を続ける。